オールドレンズの世界で、その歴史的価値と独特の描写力から今なお多くの写真愛好家を魅了し続ける「Nikkor HC 5cm f2」。
しかし、その長い歴史の中で生まれた数々のバリエーション、特に「黒帯」の有無による違いは、これから手にしようとする方にとって一つの大きな疑問点ではないでしょうか。
この記事では、そもそもNikon nikkor hc 50mm f2とはどのようなレンズなのかという基本的な解説から、コレクター心をくすぐるNikkor hc 5cm f2の製造年についての詳細、そして携帯性に優れたNIKKOR HC 5cm F2の沈胴式レンズと固定鏡胴モデルの具体的な違いまで、nikkor hc 5cm f2 黒帯違いに関するあらゆる疑問に、深く、そして分かりやすく答えていきます。
さらに、実用面で重要なNIKKOR H C 5cm f2のフィルター選びのポイント、メンテナンスに関心がある方向けのNIKKOR-H C 5cm F2の分解方法に関する注意点、NIKKOR-H C 5cm F2のLマウント化といった少しマニアックな情報も徹底的に網羅。比較対象として名高いNikkor H.C 5cm f1.4について触れつつ、名前が似ていて混同しやすいNIKKOR-S Auto 5cm F2の作例との違いも明らかにしながら、あなたが心から満足できる一本を見つけるための完全ガイドを提供します。
nikkor hc 5cm f2の黒帯違いを解説

- Nikon nikkor hc 50mm f2とは
- Nikkor hc 5cm f2の製造年について
- NIKKOR HC 5cm F2の沈胴式レンズ
- NIKKOR H C 5cm f2のフィルター選び
- NIKKOR HC 5cm F2の描写と特徴
Nikon nikkor hc 50mm f2とは
Nikon NIKKOR-H.C 5cm F2は、日本光学工業(現在のニコン)が第二次世界大戦後の復興期にあたる1946年頃から製造を開始した、レンジファインダーカメラ用の大口径標準レンズです。
戦時中の軍需産業から民生品へと大きく舵を切る中で、写真文化の発展に貢献すべく開発された一本であり、主にライカL39マウント(通称ライカスクリューマウント)と、自社開発のニコンSマウントの2種類が市場に供給されました。このレンズは、戦後のニコンのカメラ事業の礎を築いた、まさに歴史的にも非常に重要な製品として位置づけられています。
レンズ構成は、当時最高峰の光学設計として知られたドイツのカール・ツァイス社の「ゾナー(Sonnar)」タイプをベースにした3群6枚構成を採用しています。この先進的な設計により、当時のレンズとしては非常に明るいF2という開放F値を実現しながら、絞り開放からでも画面中心部の解像力が高く、コントラストの効いた鮮明な描写性能を誇りました。この卓越した性能は、ニコンの技術力の高さを世界に示すきっかけともなりました。
ゾナータイプレンズの設計思想
ゾナータイプは、発明者であるルートヴィッヒ・ベルテレ博士の名を冠したカール・ツァイスの代表的なレンズ設計の一つです。3枚のレンズを貼り合わせた接合レンズ群を特徴とし、空気と接触するレンズ面を減らすことで、レンズコーティング技術が未発達だった時代でも、内面反射によるフレアやゴーストを効果的に抑制し、抜けの良いクリアな画質を実現しました。この設計思想が、NIKKOR-H.C 5cm F2の優れた描写力の根幹をなしています。
そのあまりに優れた描写力は、「中身はツァイスから供給された本物のSonnarレンズが使われているのではないか」とまことしやかに噂されたほどです。もちろんこれは事実ではありませんが、それほどまでにオリジナルの設計に迫る、あるいは凌駕する性能を持っていたことの証左と言えるでしょう。製造から70年以上が経過した現代においても、デジタルカメラで撮影すればそのシャープネスに驚かされ、フィルムで撮影すればオールドレンズ特有の温かみと立体感のある味わい深い写りを楽しめるため、時代を超えて根強い人気を誇っています。
Nikkor hc 5cm f2の製造年について

Nikkor HC 5cm F2の素性を知る上で、その個体がいつ頃製造されたのかを知ることは非常に重要です。その最も確実な手がかりとなるのが、鏡胴に刻まれたシリアルナンバーです。ニコンの初期のレンズ群は、ライカのように単純な製造順の通し番号ではなく、製造管理上の特有のルールに基づいて番号が割り振られていました。
シリアルナンバーから読み解くレンズの歴史
特に初期のモデルでは、シリアルナンバーの先頭にある3桁または4桁の数字が、そのレンズの光学設計が完了した年月を示す「捨て番」となっており、その後に製造順を示す4桁の番号が続くというユニークな形式が採用されていました。このルールを知ることで、手にしたレンズのおおよつの出自を推測することができます。
シリアルナンバーの分類例
シリアルナンバー形式 | 製造年代の目安 | 特徴・備考 |
---|---|---|
7桁 (例: 708xxxx) | 1940年代 | 設計年月が1947年8月であることを示す。ごく初期のロット。 |
8桁 (例: 5008xxxx) | 1950年代 | 設計年月が1950年8月であることを示す。固定鏡胴モデルが登場した時期。 |
6桁 (例: 617xxx) | 1950年代以降 | シリアル体系が変更された後のロット。桁数が減り、捨て番がなくなった。 |
少しマニアックな話になりますが、ごく初期に製造された個体、特に捨て番が「609」や「708」で始まるロットの中には、戦時中にドイツのショット社から輸入した高品質な光学ガラスが使用されている、という説があります。これは、戦後の混乱で国産の光学ガラスの生産が安定しなかったためと言われています。この伝説が「初期ロットは写りが違う」と言われる所以の一つであり、真偽の特定は困難ですが、オールドレンズを探求する上での大きなロマンの一つとして語り継がれています。このあたりの経緯は、ニコン公式サイトの「ニッコール千夜一夜物語」第三十四夜でも詳しく解説されており、非常に興味深い内容です。
また、このレンズは製造時期によって仕様にいくつかのバリエーションが存在します。当初は鏡胴部分をボディ側に収納できる「沈胴式」として製造が開始されましたが、生産性やピント精度の安定性を追求する中で、鏡胴が固定された「固定鏡胴」へと仕様が変更されました。そして、本記事の主題である「黒帯」とは、この固定鏡胴モデルの中に存在するデザイン上のバリエーションを指します。
NIKKOR HC 5cm F2の沈胴式レンズ

NIKKOR HC 5cm F2の歴史を語る上で欠かせないのが、その初期型である沈胴式レンズです。このタイプは、機能性とデザイン性を両立させた、オールドレンズならではの魅力に溢れています。
沈胴式とは、レンズ鏡胴のロックを解除し、回転させながら押し込むことで、レンズ全長を短くしてボディ側に収納できる機構のことです。この最大のメリットは、カメラに装着した状態でもシステム全体を非常にコンパクトにできる携帯性の高さにあります。特にバルナックライカやニコンSシリーズといった小型のレンジファインダーカメラに装着した際の佇まいは非常に美しく、そのクラシカルな外観も多くのファンを惹きつける要因となっています。
デジタルミラーレスカメラでの使用に関する重要な注意点
マウントアダプターを介して現代のデジタルミラーレスカメラで沈胴式レンズを使用する場合、絶対に注意しなければならない点があります。それは、安易に鏡胴を沈胴させると、レンズの後端がカメラ内部のイメージセンサーやシャッター機構、あるいは手ブレ補正ユニットに物理的に接触し、深刻なダメージを与えてしまう危険性があることです。修理には高額な費用がかかる、あるいは修理不能となるケースもあります。持ち運び時を含め、デジタルカメラで使用する際は、安全のため常に鏡胴を引き出した状態で使用することを強く推奨します。
この沈胴式は、その機構の複雑さから製造に手間がかかり、また長年の使用でヘリコイドにガタが生じやすくピント精度を長期的に維持するのが困難であるといった課題も抱えていました。これらの理由から、より堅牢で生産効率の高い固定鏡胴式へと生産の主力が切り替えられていくことになります。機能面では、最短撮影距離が3.5フィート(約1m)となっており、約45cmまで寄れる後期の固定鏡胴モデルと比較すると、被写体にあと一歩近づけないという制約もあります。
戦後の復興を支えたレンズ
- F2の明るさで開放からコントラスト高い描写 ✨📸
- 伝統的なゾナータイプで力強い写り 💪🎯
- 絞りによる性能変化が少なく安定した描写 🔄👌
- 戦後復興を支えた歴史あるニッコールレンズ 🏆
NIKKOR H C 5cm f2のフィルター選び

NIKKOR H C 5cm F2を実用する上で必要となるフィルターのサイズは、40.5mmという径になります。これは、現代のデジタルカメラ用レンズではほとんど採用されることのない特殊なサイズのため、一般的な家電量販店などの店頭で見つけることは難しいかもしれません。
フィルターを入手する際は、品揃えの豊富なカメラ専門店や中古カメラを扱う店舗、あるいはAmazonや楽天市場などのオンラインショップで探すのが最も確実です。幸いなことに、40.5mm径のフィルターは現在でもマルミ光機やケンコー・トキナーといった国内メーカーによって製造が続けられており、レンズを物理的な傷や汚れから守るためのUV(保護)フィルターや、風景写真で反射を抑えるPLフィルター、モノクロフィルム撮影でコントラストを調整するためのカラーフィルターなどを新品で購入することが可能です。
ステップアップリングの活用という選択肢
もしあなたが49mmや52mmといった、より一般的なサイズのフィルター資産を既に複数お持ちの場合、「ステップアップリング」を使用するのも非常に賢い選択です。これは、異なる径のフィルターを装着するためのアダプターリングで、例えば「40.5mm→49mm」と表記されたリングをレンズ先端に取り付ければ、手持ちの49mm径フィルターを流用できるようになります。これにより、レンズごとにフィルターを買い揃える必要がなくなり、経済的な負担を軽減できます。ただし、レンズ本来のデザイン性を損なうことや、広角レンズの場合はケラレ(画面の四隅が暗くなる現象)の原因になる可能性もゼロではない点には留意が必要です。
70年以上前に製造されたオールドレンズは、前玉のコーティングが非常にデリケートな場合が多く、一度傷が付くと修理はほぼ不可能です。レンズの価値と性能を長く保つためにも、保護フィルターを常に装着しておくことを強くおすすめします。特に状態の良い個体を手に入れたのであれば、未来へその価値を受け継ぐためにも、ぜひ投資を検討してみてください。
NIKKOR HC 5cm F2の描写と特徴

NIKKOR HC 5cm F2が時代を超えて愛される最大の理由は、その唯一無二の描写性能にあります。先進的なゾナータイプの光学設計を基盤に持つこのレンズは、70年以上前に設計されたとは思えないほどの高い基本性能と、現代の高性能レンズが失ってしまった豊かな「味わい」を見事に両立させているのです。
開放(F2)での立体感と美しいボケ
絞りを開放にして撮影すると、その描写特性が最も顕著に現れます。ピントを合わせた面は、オールドレンズと侮れないほどシャープで、被写体の質感をリアルに描き出す芯のある解像感を見せます。その一方で、ピント面から外れた背景は、柔らかく滑らかにボケていき、被写体を背景から分離させて際立たせる強い立体感を演出します。特に、背景のボケ(いわゆるゾナーボケ)が、状況によって周辺部でわずかに三角形になったり、ぐるぐると渦を巻くような独特の形になったりすることがあり、これが単なるボケ味に留まらない、絵画的な表現を生み出す「味」として多くのファンに愛されています。
絞り込んだ際の安定した描写力
F4からF8程度まで絞り込むと、レンズの性格は一変します。画面全体のシャープネス、コントラスト、そして均質性が一層向上し、風景撮影や建築写真といった、画面の隅々まで精密な描写が求められるシーンでも、非常に高い描写力を発揮します。絞り開放時に見られた周辺部の像の流れや甘さも劇的に改善され、安定感のある優等生なレンズへと変化します。一つのレンズで、絞り値によって甘美な表現からシャープな表現まで使い分けられるのも、このレンズの奥深さと言えるでしょう。
このレンズのもう一つの楽しみが「ゴースト」です。逆光状態で太陽のような強い光源を直接画面に入れると、光源の方向や角度に応じて、鮮やかな虹色のゴーストやリング状のフレアが発生することがあります。現代のレンズでは徹底的に抑制されるこれらの収差を、あえて意図的に作品に取り入れることで、ノスタルジックで幻想的な、記憶に残る一枚を創り出すことができるのです。これもまた、コーティング技術が発展途上だった時代のオールドレンズならではの大きな魅力です。
nikkor hc 5cm f2黒帯違いと比較

- NIKKOR-H C 5cm F2の分解方法
- NIKKOR-H C 5cm F2のLマウント化
- Nikkor H.C 5cm f1.4について
- NIKKOR-S Auto 5cm F2の作例
NIKKOR-H C 5cm F2の分解方法
長年の使用や保管環境により、オールドレンズの内部にはカビやクモリ、あるいはバルサム切れといった問題が発生することがあります。これらの問題を解決するために、レンズの分解清掃に関心を持つユーザーも少なくありません。
しかし、結論から言うと、NIKKOR-H C 5cm F2を含むクラシックレンズの分解は、専門的な知識、熟練の技術、そして特殊な工具を必要とする非常に難易度の高い作業です。
個人でのレンズ分解が絶対に推奨されない理由
- 専用工具がなければ始まらない:レンズを分解するためには、レンズ押さえリングを回すためのカニ目レンチ、精密ドライバーセット、ゴム製の吸盤オープナーなど、様々な専用工具が必須です。代用品で無理に作業を行うと、ネジ山を完全に潰してしまったり、鏡胴に修復不可能な傷を付けたりする原因となります。
- 極小部品の紛失・破損リスク:レンズ内部には、想像以上に小さなネジやワッシャー、絞り羽根、ヘリコイドを制御するローラーなどが複雑に組み込まれています。これらを一つでも紛失、あるいは変形させてしまうと、レンズは二度と正常に機能しなくなります。
- 光軸のズレという致命的な問題:レンズエレメント(レンズ群)を一度でも鏡胴から取り出すと、元通りに組み立ててもミクロン単位での光軸のズレが発生し、ピント精度や本来の描写性能が著しく低下する可能性があります。この光軸を再調整するには、専門業者だけが持つ高価なコリメーターという測定設備が必要です。
- コーティングへの不可逆的なダメージ:レンズ表面のカビをクリーニングする際には細心の注意が必要です。強力な溶剤はカビだけでなく、レンズ表面の貴重なモノコーティング(単層膜)まで溶かしてしまう恐れがあります。一度剥がれたコーティングは元に戻せません。
以上の通り、個人での安易な分解は、貴重なレンズの価値を永遠に失ってしまうリスクと常に隣り合わせです。もしレンズのコンディションに問題が見られる場合は、迷わず信頼できるカメラ修理専門店に相談することが、最も安全かつ賢明な方法です。長年の経験を持つプロフェッショナルに依頼すれば、適切な診断と処置によって、レンズを本来の性能に近い最高の状態に蘇らせてもらうことができるでしょう。
戦後の復興を支えたレンズ
- F2の明るさで開放からコントラスト高い描写 ✨📸
- 伝統的なゾナータイプで力強い写り 💪🎯
- 絞りによる性能変化が少なく安定した描写 🔄👌
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NIKKOR-H C 5cm F2のLマウント化

「NIKKOR-H C 5cm F2のLマウント化」を検討されているあなた。
きっと「ニコンSマウントで製造された個体を、ライカLマウントに改造すること」、そして「もともとLマウントで製造された個体を、現代のライカMマウントカメラなどで使用するための方法」をお探しでしょうか^^
SマウントからLマウントへの物理的な改造
まず前者についてですが、ニコンSマウントとライカLマウントは、マウントの口径やネジのピッチ、そしてボディの基準面からセンサー(フィルム)面までの距離であるフランジバックが根本的に異なります。そのため、これらのマウントを変換するには、マウントパーツそのものを旋盤で削り出すといった金属加工を伴う大掛かりな改造が必要となります。これは非常に高度な技術を要するため、対応できる専門業者もごく一部に限られ、費用も高額になります。そのため、一般のユーザーにとっては現実的な選択肢とは言えません。
LマウントレンズをMマウントカメラで活用する方法
後者のケース、こちらがより一般的で重要な情報です。ライカL39スクリューマウントのNIKKOR-H C 5cm F2を、ライカMマウントを採用するカメラ(フィルムのM型ライカや、デジタルのM10、M11など)や、各種マウントアダプターを介してソニーα7シリーズなどのミラーレスカメラで使用するには、「M/L変換リング(L-Mリングアダプター)」というアクセサリーが不可欠になります。
この変換リングは、単に物理的な形状を合わせるだけでなく、重要な役割を担っています。リングの一部には、M型ライカのファインダー内にどの焦点距離の撮影範囲を示すか(ブライトフレーム)をボディに伝えるための爪が設けられています。NIKKOR-H C 5cm F2は50mmレンズなので、「50/75mm」用と刻印されたリングを選択するのが基本です。これにより、カメラのファインダーには50mmの画角を示すフレームが正しく表示され、正確なフレーミングが可能になります。
この変換リングは様々なメーカーから発売されていますが、中でもRAYQUAL(レイクォール)社製の日本製アダプターなどは、加工精度が非常に高く、装着時のガタつきが少ないことで定評があります。特にデジタルM型ライカのライブビュー機能などを使用する際にも、通信エラーなどが起こりにくいとされており、安心して使用できる選択肢としておすすめです。
Nikkor H.C 5cm f1.4について

Nikkor H.C 5cm F2を検討する上で、その兄弟分とも言える存在であり、常に比較対象として名前が挙がるのが、より一段と明るい大口径レンズ「Nikkor-S.C 5cm f1.4」です。
このレンズは、F2のモデルと同様にゾナータイプをベースとしながら、F1.4という驚異的な明るさを実現するために、さらに設計が突き詰められています。当時、このスペックは世界最高クラスであり、ニコンの光学技術の高さを世界に知らしめた、まさに伝説的な一本です。そのあまりの高性能さが、本家であるドイツのツァイス社を刺激し、後のレンズ開発に影響を与えたという逸話も残っています。
F1.4という圧倒的な明るさは、F2のレンズとは一線を画す、より大きく、より滑らかで、そしてより幻想的なボケを生み出します。特に絞り開放での描写は、ピント面のシャープさと、背景の美しい滲みが同居する独特の世界観を持っており、ポートレート撮影などで被写体をドラマチックに、そして印象的に際立たせたい場合に最高のパフォーマンスを発揮します。
一方で、その高性能と引き換えに、F2のレンズと比較していくつかのトレードオフも存在します。まず、レンズのサイズがやや大きく重くなり、軽快さの面では一歩譲ります。
中古市場での価格も、希少性が高いことからF2モデルよりも高価になる傾向が強いです。また、絞り開放でのピントの合う範囲(被写界深度)は紙のように薄く、正確なピント合わせにはより高い集中力と技術が求められます。携帯性や取り回しの良さ、そして安定した描写性能を重視するならF2、何よりも圧倒的なボケと唯一無二の表現力を求めるならF1.4、というように、ご自身の撮影スタイルや表現したい世界観に合わせて選ぶのが賢明な選択と言えるでしょう。
NIKKOR-S Auto 5cm F2の作例

「NIKKOR HC 5cm F2」の情報を探している過程で、非常によく似た名前を持つ「NIKKOR-S Auto 5cm F2」というレンズの情報に遭遇することがあります。しかし、この二本は名前こそ似ていますが、その出自も性格も全く異なるレンズなので、混同しないよう注意が必要です。
NIKKOR-H.C (レンジファインダー用) vs NIKKOR-S Auto (一眼レフ用)
項目 | NIKKOR-H.C 5cm F2 | NIKKOR-S Auto 5cm F2 |
---|---|---|
対応マウント | ライカL39、ニコンS | ニコンFマウント |
対応カメラ | レンジファインダーカメラ (Leica, Nikon Sなど) | 一眼レフカメラ (Nikon F, F2など) |
レンズ構成 | ゾナータイプ (3群6枚・非対称型) | ガウスタイプ (4群6枚・対称型) |
描写の傾向 | 個性的、ボケに特徴、クラシカルな描写 | 優等生的、素直なボケ、シャープでクリア |
通称 | - | 「ニッコールオート」「オートニッコール」 |
NIKKOR-S Auto 5cm F2は、ニコンが世界を席巻した一眼レフカメラ「ニコンF」の登場に合わせて設計された、Fマウント用の標準レンズです。最大の違いはレンズの光学設計にあり、こちらは「ダブルガウス」タイプと呼ばれる、レンズ構成が絞りを中心にほぼ対称な設計を採用しています。この設計は収差の補正がしやすく、画面全体で均質な高い性能を得やすいというメリットがあり、その後現在に至るまで多くの標準レンズの基本設計となっています。
そのため、作例を見ると、色のりも良く、コントラストも十分に高く、歪曲も少ない、非常に優等生的な描写をするレンズであることがわかります。ゾナータイプのHCレンズが持つ、ある種の「暴れ」や「クセ」といった個性的な描写とは対照的に、NIKKOR-S Autoはボケがより素直で柔らかく、全体的にクリアで現代的なシャープな写りをする傾向があります。オールドレンズならではのノスタルジックな「味」を存分に楽しみたいならHC、Fマウントシステムで安定した高い描写力とコストパフォーマンスを求めるならAuto Sという、明確な棲み分けができるでしょう。
nikkor hc 5cm f2 黒帯違いの総括
この記事のポイント
- NIKKOR HC 5cm F2は戦後日本の光学技術の粋を集めた歴史的な標準レンズ
- 主にライカL39マウントと自社のニコンSマウントで供給された
- レンズ構成はドイツのゾナータイプを源流としシャープな描写と美しいボケが特徴
- 製造時期により携帯性に優れた沈胴式と堅牢な固定鏡胴式のバリエーションがある
- 沈胴式は非常にコンパクトになるがデジタルミラーレス機での収納には破損のリスクが伴う
- 固定鏡胴式の中に通称「黒帯」と呼ばれるデザインの前期型が存在する
- 黒帯モデルはレンズ銘板の周囲が黒いリングで装飾され指標などが金属に直接刻印されている
- 黒帯なしの後期型はよりシンプルなオールシルバーまたはオールブラックの外観を持つ
- 固定鏡胴式は最短撮影距離が約45cmと沈胴式の約1mより大幅に寄れるのが最大の利点
- シリアルナンバーの先頭にある「捨て番」で大まかな設計年代を推測できる
- フィルター径は現代では比較的珍しい40.5mmサイズを採用している
- 内部のカビやクモリの除去を目的とした個人でのレンズ分解は光軸ズレなどのリスクが高く非推奨
- Lマウント版を現代のMマウントカメラで使うには50/75mm用のM/L変換リングが必須
- 兄弟レンズであるF1.4モデルはより大きく幻想的なボケ味を持つが価格も高価になる
- 名前が似ているNIKKOR-S Auto 5cm F2は一眼レフ用のFマウントレンズであり設計も描写も異なる
戦後の復興を支えたレンズ
- F2の明るさで開放からコントラスト高い描写 ✨📸
- 伝統的なゾナータイプで力強い写り 💪🎯
- 絞りによる性能変化が少なく安定した描写 🔄👌
- 戦後復興を支えた歴史あるニッコールレンズ 🏆
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