カメラ選びで悩んでいる方の中には「プロが使うAPS-Cカメラはどうなの？」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
一般的にプロカメラマンはフルサイズを使うというイメージがありますが、実際には多くのプロフェッショナルがAPS-Cカメラを積極的に活用しています。本記事では、APS-Cの最強モデルやミラーレス機の性能、フルサイズとの画質比較、さらには富士フイルムがなぜAPS-Cセンサーで勝負しているのかなど、幅広く解説します。また、「APS-Cで十分なのか」「マイクロフォーサーズとどちらを選ぶべきか」といった疑問や、APS-Cレンズをフルサイズで使用した場合の画角変化についても触れていきます。
ソニーをはじめとする各メーカーの最新モデルも紹介するので、カメラ選びの参考にしてください。フルサイズのデメリットも含め、あなたの撮影スタイルに合った最適なカメラを見つけるためのヒントが見つかるはずです。
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プロのカメラマンがAPS-Cサイズのセンサーを持つカメラを選ぶ理由は、いくつか考えられます。
一つには、機材の携帯性が挙げられます。フルサイズセンサーのカメラと比較して、APS-Cセンサーのカメラは一般的に小型で軽量な傾向があります。これは、プロのカメラマンが様々な撮影現場へ移動する際に、負担を軽減する上で重要な要素となります。また、レンズも同様にコンパクトになることが多いため、システム全体としての可搬性が向上します。
二つ目には、焦点距離に関する利点があります。APS-Cセンサーはフルサイズセンサーよりも撮像範囲が狭いため、同じレンズを使用した場合でも、より望遠に近い画角で撮影できます。具体的には、焦点距離が約1.5倍（メーカーによって異なります）になるため、例えば300mmのレンズであれば、フルサイズ換算で450mm相当の望遠効果が得られます。これは、野鳥やスポーツなど、遠くの被写体を大きく捉えたい場合に有利に働きます。プロのカメラマンの中には、このような望遠効果を活かして、APS-C機を専門的に使用する方もいます。
さらに、コストパフォーマンスも考慮すべき点です。一般的に、APS-Cセンサーのカメラとレンズは、フルサイズのものと比較して価格が抑えられています。プロのカメラマンが複数の機材を揃える必要がある場合や、特定の用途に特化したシステムを構築する際には、コスト面でのメリットが大きくなります。
ただし、APS-Cセンサーにはデメリットも存在します。一般的に、フルサイズセンサーに比べて受光面積が小さいため、高感度撮影時のノイズが発生しやすかったり、ボケの表現が浅くなりがちであったりする点は理解しておく必要があります。プロのカメラマンは、これらの特性を理解した上で、撮影する被写体や状況に応じて最適な機材を選択しています。
APS-Cサイズのセンサーを持つカメラで「十分な画質と性能」と言えるかどうかは、撮影する目的や用途、そして最終的なアウトプットによって異なります。
画質に関して言えば、最新のAPS-Cセンサー搭載カメラは、以前のモデルと比較して著しく進化しており、多くの場合、一般的な利用においては十分な高画質を提供します。例えば、高画素モデルであれば、A4サイズ程度の印刷物であればフルサイズセンサー搭載カメラと比較しても遜色ない解像感を得られます。また、ダイナミックレンジも向上しており、明暗差の大きなシーンでも白飛びや黒つぶれを抑えた描写が可能です。
性能面においても、近年のAPS-C機はオートフォーカス（AF）の速度や精度、連写性能などが向上しており、動きの速い被写体もしっかりと捉えることができます。動画撮影機能も進化しており、4K動画の記録や、プロの現場でも使用されるようなLog撮影に対応したモデルも存在します。
「十分」と言えるかどうかの判断基準としては、まず、写真の用途が挙げられます。個人的な趣味の範囲での利用や、ウェブサイトやSNSへの掲載が主であれば、APS-C機の画質と性能で多くの場合、満足できる結果が得られるでしょう。プロの現場においても、報道や記録写真など、必ずしも最大限のボケ表現や高感度性能が求められないケースでは、APS-C機が十分に活躍できます。
ただし、ポートレート撮影で背景を大きくぼかしたい場合や、暗い場所での撮影が多く、ノイズを極限まで抑えたいといった特定のニーズがある場合は、フルサイズセンサー搭載カメラの方がより適している可能性があります。
結局のところ、APS-C機で「十分な画質と性能」と言えるのは、そのカメラが撮影者の目的を達成できるだけの能力を備えているかどうかによります。最新のAPS-C機は、多くの状況において高いレベルの画質と性能を発揮できるため、自身の撮影スタイルや用途を考慮して選択することが重要です。
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富士フイルムがカメラのラインナップにおいて、フルサイズセンサーではなくAPS-Cサイズのセンサーを主体としているのには、いくつかの理由が考えられます。
まず、レンズ設計における強みが挙げられます。フィルムメーカーとしての長い歴史を持つ富士フイルムは、レンズの描写力に非常に強いこだわりを持っています。APS-Cセンサーに合わせて最適化された高性能なレンズを開発することで、センサーサイズが小さくても、フルサイズに匹敵する高画質を実現できるという自信があるのではないでしょうか。富士フイルムのAPS-C用レンズは、その高い解像力と豊かな色表現で多くのユーザーから評価されています。
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次に、システム全体の小型軽量化というメリットがあります。APS-Cセンサーはフルサイズセンサーよりも小さいため、カメラ本体だけでなく、装着するレンズも小型で軽量に設計することが可能です。これは、携帯性を重視するユーザーにとって大きな魅力となります。特に、風景撮影や旅行など、機材を持ち運ぶ機会が多い撮影においては、その恩恵を実感しやすいでしょう。
また、富士フイルム独自の哲学も影響しているかもしれません。「撮って出し」の画質を重視する同社のカメラは、フィルムシミュレーションという独自の機能に代表されるように、JPEG撮って出しの色再現性に力を入れています。APS-Cセンサーに合わせて緻密に設計された画像処理エンジンとフィルムシミュレーションの組み合わせによって、独特の色表現と高い画質を両立させていると言えるでしょう。
さらに、APS-Cセンサーであることによる焦点距離の特性も理由の一つと考えられます。前述の通り、APS-Cセンサーはフルサイズセンサーに対して約1.5倍の焦点距離効果があるため、同じレンズでもより望遠で撮影できます。これは、望遠レンズが高価になりがちな中で、比較的安価なレンズで望遠効果を得たい場合に有利です。
もちろん、富士フイルムもプロ向けのより大きなセンサーサイズである中判フォーマットのカメラをラインナップしています。これは、より高い画質や浅い被写界深度を求めるプロフェッショナルなニーズに応えるためと考えられます。しかし、APS-Cセンサーを主体とすることで、画質、携帯性、レンズ設計、そして独自の画作りといった要素をバランス良く提供し、多くのユーザーに支持されていると言えるでしょう。
APS-Cサイズのセンサーで得られる最高画質は、一概に数値を挙げて示すことは難しいです。なぜなら、「画質」という言葉が指す範囲は広く、解像度、ダイナミックレンジ、高感度性能、色再現性など、様々な要素が複合的に影響するためです。
解像度に関しては、現在のAPS-Cセンサー搭載カメラの中には、3000万画素を超える高画素モデルも存在します。これらのカメラで撮影された写真は、細部の描写力に優れており、A3サイズ以上の印刷にも十分に対応できるだけの情報量を持っています。
ダイナミックレンジについても、最新のAPS-Cセンサーは大きく向上しています。これにより、明暗差の激しいシーンでも、白飛びや黒つぶれを抑え、豊かな階調表現が可能になっています。
高感度性能は、センサーサイズが小さいAPS-Cにとって、一般的にフルサイズに比べて不利な点とされてきました。しかし、近年の技術革新により、APS-CセンサーでもISO感度を上げてもノイズが目立ちにくいモデルが増えています。画像処理エンジンの進化も高感度性能の向上に大きく貢献しています。
色再現性に関しては、メーカーによって特色があります。例えば、富士フイルムは長年のフィルム開発で培ったノウハウを活かし、独特の色表現を実現しています。他のメーカーも、それぞれの画像処理エンジンによって、自然で忠実な色再現や、個性的な色作りを行っています。
したがって、「APS-Cの最高画質」を考える際には、特定のカメラモデルやセンサーに注目するよりも、最新の技術が投入された高性能なAPS-C機全般として捉えるべきでしょう。これらのカメラは、多くの撮影状況において、プロのニーズにも応えられるだけの画質と性能を備えています。
ただし、物理的なセンサーサイズの差による、ボケの大きさや、極めて高いISO感度でのノイズ性能においては、一般的にフルサイズセンサーにアドバンテージがあることは否定できません。しかし、APS-Cセンサーの技術も日々進化しており、その差は縮まりつつあります。
最終的に「最高画質」と感じるかどうかは、個々の撮影者の価値観や、どのような写真を求めているかによって異なるでしょう。しかし、現代のAPS-Cセンサー搭載カメラは、非常に高いレベルの画質を提供しており、多くのユーザーにとって「十分以上」と言えるだけのポテンシャルを秘めていると言えます。
APS-Cサイズのセンサーを搭載したミラーレスカメラの中で、「最強」と呼べるモデルは、何を重視するかによって変わってきます。画質、オートフォーカス性能、連写速度、動画機能、携帯性、価格など、カメラに求められる要素は多岐にわたるためです。ここでは、いくつかの高性能APS-Cミラーレスカメラの特徴を紹介し、それぞれの強みを見ていきましょう。
例えば、ソニーのα6700は、最新の画像処理エンジンと高性能なオートフォーカスシステムを搭載しており、静止画・動画ともに高いパフォーマンスを発揮します。特に、リアルタイムトラッキングAFは、動きの速い被写体を正確に捉え続けるため、スポーツや動物の撮影に強みを発揮します。また、高画素センサーによる精細な描写や、進化した手ブレ補正機能も魅力です。
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一方、富士フイルムのX-T5は、高画素センサーと最新の画像処理エンジンを搭載し、卓越した画質と豊かな色再現性を実現しています。同社独自のフィルムシミュレーション機能は、JPEG撮って出しでも美しい写真を生み出すため、フィルムカメラのような感覚で撮影を楽しみたいユーザーに人気です。また、操作性にも優れており、ダイヤルによる直感的な操作が可能です。
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キヤノンのEOS R7も、高性能なAPS-Cミラーレスカメラの一つです。高速連写性能と高精度なオートフォーカスシステムを搭載しており、多様ななシーンの撮影に適しています。また、動画撮影機能も充実しており、高画質な4K動画記録が可能です。
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このように、各メーカーのAPS-Cミラーレスカメラは、それぞれ独自の強みを持っています。ソニーのα6700はオールラウンドな高性能、富士フイルムのX-T5は高画質と独特の色表現、キヤノンのEOS R7は多様な撮影性能といった特徴があります。
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したがって、APS-Cミラーレスの「最強モデル」を選ぶ際には、自身の撮影したい被写体やスタイル、そして重視する機能に基づいて、最適な一台を選ぶことが大切です。価格帯も考慮しながら、各モデルの口コミレビューを比較検討することをおすすめします。
APS-Cサイズのセンサーに合わせて設計されたレンズを、フルサイズセンサー搭載のカメラに装着した場合、一般的にはいくつかの現象が起こります。
最も顕著なのは、写真の四隅が暗くなる「ケラレ」と呼ばれる現象です。これは、APS-C用レンズがカバーするイメージサークル（レンズが結像する円形の範囲）が、フルサイズセンサーの面積よりも小さいため、センサーの端まで光が届かないことが原因で発生します。結果として、写真の四隅が影のようになったり、黒く塗りつぶされたりします。
ただし、一部のフルサイズミラーレスカメラには、「APS-Cクロップ」という機能が搭載されています。この機能を有効にすると、カメラはセンサーの中央部分のみを使用して撮影を行い、APS-Cサイズの画角で記録します。この場合、ケラレは発生しませんが、記録される写真の画素数は、フルサイズセンサーの総画素数よりも大幅に減少します。例えば、6000万画素のフルサイズ機でAPS-Cクロップを使用すると、2400万画素程度の写真として記録されることがあります。
また、APS-C用レンズは、そのセンサーサイズに合わせて小型軽量に設計されていることが多いため、フルサイズ機に装着すると、カメラ本体とのバランスが悪く感じられることがあります。
一部の例外として、特殊な設計のレンズや、広角系のAPS-C用レンズの中には、フルサイズセンサーの一部をカバーできるものも存在します。この場合、ケラレは発生するものの、クロップ機能を使用するよりも広い画角で撮影できる可能性があります。しかし、画質は周辺部で劣化することがあります。
フルサイズ機にAPS-C用レンズを装着する主なメリットとしては、APS-Cクロップ機能を使用することで、焦点距離が約1.5倍になるため、望遠効果を得られる点が挙げられます。例えば、50mmのAPS-C用レンズをフルサイズ機にクロップして装着すると、約75mm相当の画角で撮影できます。
このように、APS-Cのレンズをフルサイズで使用する場合は、ケラレが発生する可能性があり、クロップ機能を使用すると画素数が減少します。望遠効果を得られるというメリットもありますが、基本的には、レンズはそのセンサーサイズに合わせて使用することが、カメラとレンズの性能を最大限に引き出す上で推奨されます。
フルサイズセンサーとAPS-Cセンサーのカメラで撮影した写真を見比べると、いくつかの点で違いが見られます。これらの違いは、センサーの物理的な大きさの違いに起因するものです。
まず、ボケの表現に違いが現れます。一般的に、フルサイズセンサーの方がAPS-Cセンサーよりも受光面積が大きいため、同じレンズの開放F値で撮影した場合、フルサイズの方が背景をより大きく、そして滑らかにぼかすことができます。これは、ポートレート撮影などで被写体を際立たせたい場合に重要な要素となります。APS-Cでもボケを得ることは可能ですが、フルサイズほど大きくぼかすには、より明るいレンズを使用したり、被写体に近づいて撮影したりする工夫が必要になります。
次に、高感度性能に差が出ることがあります。センサーサイズが大きいフルサイズの方が、一般的に光を受け止める面積が広いため、暗い場所での撮影時にノイズが発生しにくい傾向があります。高ISO感度で撮影した場合、フルサイズの方がよりクリアで、ディテールを保った写真を撮れることが多いです。ただし、近年のAPS-Cセンサーの技術も向上しており、以前ほどの大きな差は見られなくなってきています。
ダイナミックレンジにも違いが見られることがあります。ダイナミックレンジとは、写真の中で最も明るい部分から最も暗い部分までの表現できる明るさの幅のことです。フルサイズセンサーの方が、より広いダイナミックレンジを持つ傾向があり、これにより、白飛びや黒つぶれを抑え、より自然で豊かな階調の写真を得やすくなります。
解像度に関しては、センサーサイズよりも画素数に大きく左右されます。APS-Cセンサーでも高画素なモデルは存在し、フルサイズ機と比較しても遜色のない精細な描写が可能です。A4サイズ程度の印刷であれば、両者の解像感に大きな違いを感じることは少ないかもしれません。
レンズの選択肢と価格にも違いがあります。フルサイズ用のレンズは一般的に大型で高価になる傾向がありますが、描写性能を最大限に引き出すことができます。一方、APS-C用のレンズは小型軽量で比較的安価なものが多く、携帯性に優れています。
これらの違いを理解した上で、自身の撮影目的やスタイル、そして予算に合わせて最適なセンサーサイズのカメラを選ぶことが重要です。
APS-Cとマイクロフォーサーズは、どちらもフルサイズよりも小型のセンサーを搭載したカメラシステムですが、それぞれに特徴があり、どちらを選ぶかは撮影者のニーズによって異なります。
センサーサイズの違いが、両者の最も大きな違いです。APS-Cセンサーはマイクロフォーサーズセンサーよりも一般的に一回り大きく、これにより、画質面でいくつかの違いが生まれます。APS-Cの方が、より背景をぼかしやすく、高感度撮影時のノイズも比較的少ない傾向があります。ダイナミックレンジにおいても、APS-Cの方が有利な場合があります。
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一方、マイクロフォーサーズの最大のメリットは、システム全体の小型軽量さです。カメラ本体だけでなく、レンズもAPS-C用と比較してコンパクトで軽量なものが多いため、持ち運びの負担を減らしたい場合に適しています。特に、登山や旅行など、機材の軽量化が重要なシーンでは、マイクロフォーサーズの利点が際立ちます。
レンズのラインナップも、両システムを選ぶ上で重要な要素です。マイクロフォーサーズは、長年にわたる規格であり、非常に豊富な種類のレンズが各メーカーから提供されています。広角から超望遠、単焦点レンズまで、あらゆる撮影ニーズに対応できるレンズが揃っています。APS-Cもレンズの種類は増えていますが、マイクロフォーサーズほど多様な選択肢がない場合があります。
焦点距離の考え方も異なります。APS-Cはフルサイズ換算で約1.5倍の焦点距離になりますが、マイクロフォーサーズは約2倍になります。つまり、同じ焦点距離のレンズでも、マイクロフォーサーズの方がより望遠の効果を得られます。これは、野鳥やスポーツ撮影など、望遠レンズを多用する被写体に適しています。
動画撮影に関しては、どちらのシステムも高性能なモデルが多く、4K動画の記録やLog撮影などに対応しています。ただし、メーカーや機種によって、動画機能の性能や使い勝手に違いがあります。
最終的にどちらを選ぶかは、何を最も重視するかによって決まります。画質やボケ表現を優先するならAPS-C、携帯性やレンズの豊富さ、より大きな望遠効果を求めるならマイクロフォーサーズが有力な選択肢となります。両システムのカメラとレンズを実際に手に取って、使いやすさやフィーリングを試してみるのも良いでしょう。
APS-Cセンサーとフルサイズセンサーのカメラ、どちらを選ぶべきかは、あなたの写真撮影の目的や、何を重視するかによって大きく異なります。それぞれのセンサーサイズには、メリットとデメリットが存在します。
フルサイズセンサーの主な利点は、豊かなボケ表現と、一般的に高い高感度性能、そして広いダイナミックレンジです。背景を大きくぼかして被写体を際立たせたいポートレート撮影や、暗い場所でもノイズを抑えたクリアな写真を撮りたい夜景撮影などにおいては、フルサイズが有利となることが多いです。また、広いダイナミックレンジは、明暗差の大きな風景写真などで、より自然な階調表現を可能にします。
しかし、フルサイズセンサーのカメラとレンズは、一般的にAPS-Cのものよりも大型で重く、価格も高くなる傾向があります。これは、持ち運びの負担増や、初期投資の増加につながります。
一方、APS-Cセンサーの主な利点は、カメラとレンズが小型軽量であること、そして価格が比較的抑えられていることです。これは、旅行や日常のスナップ撮影など、機動性を重視する場合や、予算を抑えたい場合に適しています。また、APS-Cはフルサイズに比べて焦点距離が約1.5倍になるため、同じレンズでもより望遠の効果を得られます。これは、望遠レンズが高価になりがちな中で、比較的安価に望遠撮影を楽しみたい場合にメリットとなります。
ただし、APS-Cはフルサイズに比べてボケの表現が浅く、高感度性能やダイナミックレンジで見劣りする場合があります。しかし、近年のAPS-Cセンサーの性能は向上しており、一般的な用途においては十分な画質を提供します。
結局のところ、どちらが良いかは、あなたの撮影したい被写体、重視する要素（画質、携帯性、価格など）、そして予算によって決まります。「絶対にフルサイズが良い」というわけではなく、APS-Cにも多くの魅力があります。まずは、自分がどのような写真を撮りたいのか、どのような機材が自分のスタイルに合っているのかをじっくりと考えてみることが大切です。
フルサイズセンサー搭載カメラは、高画質や豊かな表現力といった多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。
まず、機材の大きさ、重さが挙げられます。フルサイズセンサーを搭載するためには、カメラ本体のサイズがAPS-Cなどの小型センサー機と比較して大きくなる傾向があります。また、フルサイズセンサーの性能を最大限に引き出すためには、レンズも大口径で高性能なものが多く、結果として重く、かさばることがあります。これは、長時間の撮影や、機材を頻繁に持ち運ぶ必要がある場合には、大きな負担となる可能性があります。
次に、価格が高いという点もデメリットです。フルサイズセンサーの製造コストは一般的に高く、高性能なレンズと組み合わせることで、システム全体の価格がAPS-Cなどの小型センサー機と比較して高額になります。初期投資だけでなく、将来的にレンズを買い足す際にも、費用がかさむことを考慮する必要があります。
被写界深度が浅くなりやすいという点も、場合によってはデメリットとなります。フルサイズセンサーはその大きさから、同じF値のレンズを使用した場合でも、APS-Cセンサーよりも被写界深度が浅くなります。これは、背景を大きくぼかしたい場合には有利に働きますが、風景写真のように画面全体にピントを合わせたい場合には、絞り込む必要があり、結果としてシャッタースピードが遅くなったり、ISO感度を上げる必要が出てくることがあります。
レンズの焦点距離の感覚が異なるという点も考慮すべきです。APS-Cセンサーでは、レンズの焦点距離が約1.5倍相当になるため、例えば50mmのレンズは75mm相当の画角で使えます。一方、フルサイズではレンズに表記された焦点距離そのままの画角になるため、APS-Cユーザーからすると、より広い画角で写るように感じるかもしれません。これは慣れの問題でもありますが、APS-Cからフルサイズに移行する際には、レンズ選びの際に注意が必要です。
最後に、機材の取り扱いに気を使う必要があるという側面もあります。高価な機材であるため、落下や衝撃などにはより慎重になる必要があります。また、大型で重量もあるため、取り回しに慣れが必要となる場合もあります。
これらのデメリットを理解した上で、フルサイズのメリットが自身の撮影スタイルや目的に合致するかどうかを慎重に検討することが大切です。
APS-Cサイズのセンサーに合わせて設計されたレンズをフルサイズセンサー搭載のカメラで使用する際には、いくつかの注意点があります。これらを理解しておかないと、意図しない結果になる可能性があります。
まず、最も注意すべき点は「ケラレ」の発生です。APS-C用レンズは、フルサイズセンサーよりも小さなイメージサークルをカバーするように設計されています。そのため、フルサイズ機に装着すると、レンズがカバーしきれないセンサーの外周部分に光が届かず、写真の四隅が暗くなったり、黒く欠けたりする現象（ケラレ）が生じます。このケラレの度合いは、レンズの種類や焦点距離によって異なります。広角レンズほどケラレが目立ちやすい傾向があります。
次に、画素数の低下に注意が必要です。多くのフルサイズミラーレスカメラには、「APS-Cクロップ」モードが搭載されています。APS-Cレンズを装着すると、自動的にこのクロップモードに切り替わる機種もあります。クロップモードでは、センサーの中央部分のみを使用して撮影するため、ケラレは発生しませんが、記録される写真の画素数は、フルサイズセンサーの総画素数よりも大幅に減少します。例えば、フルサイズ機が6000万画素のセンサーを搭載していても、APS-Cクロップ時には2400万画素程度になることがあります。これは、写真の解像度やトリミングの耐性に影響を与える可能性があります。
また、レンズの性能を十分に引き出せない場合もあります。APS-C用レンズは、そのセンサーサイズに合わせて最適化されています。フルサイズセンサーで使用した場合、周辺部の画質が劣化したり、歪みが目立ったりすることがあります。
さらに、カメラ本体とのバランスも考慮すべき点です。APS-C用レンズは小型軽量に設計されていることが多いため、大型のフルサイズ機に装着すると、見た目のバランスが悪くなったり、操作感が損なわれたりすることがあります。
ただし、APS-Cレンズをフルサイズ機で使用するメリットも皆無ではありません。APS-Cクロップ機能を利用することで、レンズの焦点距離が約1.5倍になるため、望遠効果を得ることができます。例えば、50mmのAPS-Cレンズは、フルサイズ機では75mm相当の画角で撮影できます。これは、望遠レンズを持たない場合に、一時的に望遠撮影を行いたい場合に役立ちます。
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これらの注意点を踏まえると、APS-Cレンズをフルサイズ機で常用することは、画質や画角の面で制約を受けることが多いため、基本的には推奨されません。一時的な利用や、特定の目的がある場合に限って使用するのが適切と言えるでしょう。
フルサイズセンサーのカメラにAPS-Cサイズのセンサーに合わせて設計されたレンズを装着し、カメラの「APS-Cクロップ」機能を使用した場合、撮影される画角は、レンズに表記されている焦点距離よりも狭くなります。具体的には、一般的に約1.5倍に焦点距離が換算されます。
この焦点距離の換算率は、APS-Cセンサーのサイズがフルサイズセンサーの約1.5倍小さいことに由来します。イメージセンサーのサイズが小さくなるほど、同じレンズで捉える範囲が狭くなるため、結果として望遠レンズのような効果が得られます。
例えば、APS-C用の35mmのレンズをフルサイズ機にAPS-Cクロップモードで装着した場合、撮影される画角はフルサイズ換算で約52.5mm（35mm × 1.5）相当になります。これは、標準レンズに近い画角です。
同様に、APS-C用の50mmのレンズであれば、フルサイズ換算で約75mm相当の中望遠レンズの画角になります。APS-C用の200mmの望遠レンズであれば、フルサイズ換算で約300mm相当の本格的な望遠レンズの画角で撮影できます。
このように、APS-Cレンズをフルサイズ機で使用し、APS-Cクロップを行うと、レンズに表記された焦点距離よりも望遠側の画角で撮影できるという特性があります。これは、フルサイズ用の望遠レンズが高価であるため、APS-C用の望遠レンズを流用して望遠効果を得たい場合に有効な手段となります。
ただし、前述の通り、APS-Cクロップを使用すると、フルサイズセンサーの全画素数を使用するわけではないため、記録される写真の画素数は減少します。また、APS-C用レンズはフルサイズセンサーの隅々までカバーするようには設計されていないため、クロップせずに使用するとケラレが発生する可能性があります。
したがって、フルサイズ機でAPS-Cレンズを使用する際には、画角が狭くなる（焦点距離が長くなる）ことと、画素数の低下、そしてケラレのリスクを理解しておく必要があります。
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